※2014年にセンス・オブ・ジェンダー賞で大賞を受賞した作品

ジェンダーSF研究会さんという団体があって、そこでは2001年から毎年「Sence of Gender賞」の選定が行われていて、2015年度は特定の作品ではなく「オメガバース現象」が対象に選ばれたそうなんですが、Twitter上ではちらほらとその件についての批判が流れてきたりしていました。

確かにオメガバースって二次創作で爆発的に流行して、それが商業に輸入されて……という流れなんですけど、受が女の子と変わらないみたいな(最近はあんまり見なくなったタイプの)BLっぽいテイストの作品もすごく多いのは本当だと思います。二次創作を見ていると特にそういう傾向があるなとも感じています。
でも私、オメガバースすごく好きなんですけど、それって「オメガバース」についての海外の説明文章を読んだからっていうのが大きくて。原文は英語で「Alphas, Betas, Omegas: A Primer」っていうタイトルで公開されています。

この文章はオメガバースについての手引きみたいなものなんですが、その中に「α・β・Ωの比率は作者それぞれで、それによって各性の社会での立ち位置が変わる」みたいなことが書いてあるところがあるんですね。
(※オメガバースの基本設定なんですが、人間には男女の区別のほかにα・β・Ωという区分があって、βは普通の人間と一緒で、αは男女問わずちんちんがデカくて女性やΩを妊娠させられるぜっていう区分、Ωは男女問わず妊娠可能で自分では制御不能な発情期を持つという設定があります。そしてαは優秀でΩは劣った存在みたいな思い込みがある社会である、という設定も)

私はその部分を見て「あ、これすごく面白そうだな」って思ったんですよ。


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なんで「面白そう」かって、オメガが劣った存在だと思われているのは「発情期があって周囲の人間を誘惑しまくってしまう」からで、「妊娠に適している性である」からです。

発祥がアメリカの二次創作界隈だというのも影響しているのだろうと思いますが、これって女性が古くから言われてきたことそのものなんですよね。女は男を誘惑してしまうものだとか、妊娠に適しているので仕事に向かないとか。
でもそういうのについて創作で書いたとしても「なんだフェミか」って馬鹿にされてしまう。
日本ではフェミニストというのは馬鹿にして見下してもいい存在、みたいなイメージ作りがされているからです。罵倒としてフェミって単語を使う人もいますよね。
(もちろん私も「コイツとはまったく考えが合わない」とか「なんて無礼なやつなんだ…」とか、嫌いなフェミニストは星の数ほどいますけど、それは「私が嫌い」なだけであって、全員を馬鹿にしていいということにはなりませんよね?)

しかも女性からも反発を食らうこともあるだろうな、というのは容易に想像できます。ほら、よくいますよね。「こういうのはどうなんだ」みたいなことを言っている相手に「私は構いません」って言う人。
そういう意見を持つこと自体は構いませんし、その辺は人それぞれなので好きにすればいいと思いますけど、今は他人に意見をぶつけやすい時代です。
Twitterで痴漢についてツイートすると間違いなく「痴漢冤罪が!」と言いにくるおじさんがいますし、女性専用車両について話をすると「あれは男性差別だ!」と言ってくる人たちがいます。
(私は女性専用車両に関しては痴漢がいるのだから自衛策としては仕方がないだろう、と思っていますし、痴漢冤罪に関してはそれはそれで問題だとは思いますが痴漢の話をしているときに言いに来る人はおかしな人だなと思いますよ)

そういう感じで色んな方面から殴られるのが目に見えているわけですけど、でもオメガバースだったら何を書いても文句を言われる筋合いはありません。
だってオメガって、架空の存在だもの。男性差別だって言われても「いえ、これはオメガ差別を描いたものであって男性差別ではありません」って言い切ります。実際その通りだし。

そういう意味では「自由にものを考えて発言し、創作する」という下地としてものすごく面白いものなんじゃないのかな、と思っているのです。
女性差別なんて存在しない、みたいなことを言う人は結構いますけど、たとえば私が若い頃なんかはまだ「女に学問は要らない」って言われたりしていたんですね。
ちなみに私、中学生の頃には成績は全国で上位3~5%くらいに入る程度だったんですけど、それでもそう言われるんです。なんでだ、って思うじゃないですか。上から3~5%に入ってても「学問は要らない」なんて言われるのは女だからって、絶対におかしいと思います。これが男の子だったら、絶対にそんなこと言われないんですよ?

そういう細々としたフェアじゃないことって、世の中には溢れているわけですよ。セクハラとかもね。私は外見がナメられやすいのもあって、随分といろんな目に遭ってきました。
(よくセクハラの話をすると「モテ自慢だ」なんて勘違いする馬鹿がいますが、セクハラはモテじゃないですよ。あれは「相手が弱い、逆らえない人間だ」と思うからやるんです。美人だとか可愛いとかそういう話じゃないです。弱そうな女だったら誰でもいいんですよ)
その意味では色々と思うところはあるし、だからその思うところを誰にも邪魔されずに好きに表現できるというのはとてもいいことだとも思っています。

だから今回「なんで個別の作品に与えなかったんだ」という批判がたくさんあるのを見て、ある意味びっくりしたというか……。
現象自体がすごく画期的だと思うし、みんなどんどん書いたらいいと思うよ!って。
日本のオメガバースが旧弊的な価値観と魔合体してしまいがちだというのは事実だと思いますけど、そりゃあそういうのがマジョリティなんだから初期のうちにそういうのが溢れるのは当然じゃないのか、とも思うんです。
それでも、すそ野が広ければそのぶん色々なものを保有しておく素地ができるとも思います。

私もそのうち、そういう感じでオメガバースやりたいなーって思ってるんですけど、どうかなー。


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※2013年にセンス・オブ・ジェンダー賞で大賞を受賞した作品