先日から話題になっている立命館大学の学生が人工知能学会に提出した論文の中でPixivのR18創作物を使用して、ジャンル名やキャラ名、作者名を伏せずに掲載した件でのこのツイートが結構バズったんだけど、反応を見たりしていて、これまでずっとモヤッとしていた「BLも外部から理解されないといけない」ということへの抵抗感について書いておいたほうがいいんじゃないかなと思ったのでまとめておきます。

BL書いてる人たちが「放っておいて」とか「理解なんかされなくていい」って言うと、したり顔で「なら公開しなければいい」とか「これからはそれじゃダメだ」なんて言う人、いますよね?
一理ある部分もあるけど、それは実はものすごい暴力的な発言なんだよ、って話です。人によっては嫌な気持ちになるかもしれないので自己責任で読んでくださいね。



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私は17歳の頃からインターネットをやっていて、その頃にはもう腐女子でした。当時は腐女子なんて言葉はまだ存在していなくて「同人女」なんて自称していた頃、ボーイズラブ・やおい・JUNEが似ているけど違うジャンルとして認識されていた時代です。

その頃は今ほど腐女子的なものが一般のひとには理解されていなかったのもあって、ボーイズラブが好きだなんて男性の前で言うと、ほぼ間違いなくセクハラが返ってきていたんですよね。創作系のコミュニティでさえそうでした。

たとえば向こうが「理解したいから教えて欲しい」と言ったとしますよね。
でもだいたいの場合、ボーイズラブというものを「女子供の好むポルノの一種」だと認識しているので、「男同士でセックスしてるのの何がいいの?」とか「どうして男女じゃいけないの?」とか言われるわけです。

それならまだいい方で、酷い人になると作中の性描写について言及して「浅葉さんはこういうセックスが好きなの?」とか聞いてくる。改めて言いますけど、当時17歳とか18歳とかですよ。高校生相手に大人がそういうことを言ってくる。

最初のうちは真面目に相手をしていた私も、途中から嫌になって「放っておいてくれ」と拒否するようになりました。当然ですよね。セクハラされて嬉しい女の子はいません。
でもそうすると「せっかく理解してあげようとしているのに」みたいなことを言われるわけですよ。

(理解って何だよ、聞いてくることはほとんど私についての性的なことじゃないか!)

普通は頭に来ますよね。
知っている人でも知らない人でも、嫌だって言ってるのにしつこく「自分の性体験」についての質問をしてきたら腹が立ちます。ハラスメントです。
でも当時は今よりもずっとセクハラという概念が浸透していなくて、私が短気で腹を立てているだけみたいな扱いをされていました。私はそのことを今でも根に持っているくらい、ずっと腹立たしく思っています。

でもこういうのって、私だけの体験じゃないんですよ。
女性が性描写を含む作品を好む場合、もう、とにかくセクハラされるんです。


こういう感じで。

なぜかエロ系の創作をしている人(やエロ系コンテンツを好む人)にはエロいことを言ったりやったりしてもいいと思い込んでいる人たちっていうのがいるんですよね。ボーイズラブ系に関しては、特に、若い女性が多いこともあってその傾向が強かったんです。

ボーイズラブというとやおい的な、いわゆる攻と受がエッチなことしている創作物……みたいなイメージがありますが、実際にはそうではありません。
ボーイズラブは「男同士の恋愛もの」の総称なので、性描写を含まないものもたくさんあります。
だから下は小学生からいるわけですよ。

小学生や中学生に対してエッチなことを言ってもいいと考える男性、どう思います? アウトですよ。高校生だってアウトです。
成人女性に言うのだってよくないのに、子供に言うとかますますありえない。でもそういう体験をみんなしてきているわけなんですよね。
だからボーイズラブ系の創作物は内輪で楽しみたい。できれば不躾な男性の目には触れさせたくない、とこうなるわけです。

それに対して大人の男性が寄ってたかって「公開している以上は批判は免れない」だとか「引用は法律で認められた権利だ」なんて言ってるのって、どう感じられるかわかります?

あ、コイツらはこれまで私たちが経験してきたのと同じようなハラスメントを、堂々としたいと主張しているんだ。自分にはその権利があると思っているんだ。

そう見えるんですよ……。
そんな意図はない、って言うかもしれません。というか、だいたいの人はそんな意図はないと思います。

でも創作する側は知ってるんですよね。
そういう意図で近づいてくる男性は大勢いるんだ、っていうことを。
しかも相手はそれが当然の権利だと思い込んでいて、拒否すると「ワガママだ」とか「これだから女は」とか言われるっていう……。

それって不当じゃないですか?
ハラスメントを拒む権利は誰にでもあります。
でも、今の日本では女性がハラスメントを拒むと「生意気だ」とか「ワガママだ」とか言われるんですよ。それを中学生や高校生の女の子たちが受けるんです。

Pixivに限らず、女性の多いコミュニティは結構、そういう問題でダメージを受けています。たとえばおじさん向けの雑誌に「Pixivの女の子はこうすればヤレる!」とか「コスプレイヤーとセックスする方法」みたいな感じで記事にされたりすることも結構あります。

そういうのが話題になるたびに「あんなのネタだ」って言う人が出るんですけど、やられる側にとってはネタじゃすまないんですよ。
今回の件はまさしく、そういうゲスなナンパ指南なんかと同じ種類の、こちら側を一方的に搾取しようとする人間の振る舞いと同じように見えて、だからこそ強い反発を受けたわけです。

でも女性が不快感を表明すると「くだらない」って切り捨てようとする人が絶対出てきます。
不快感の表明は本当は全然悪いことじゃないんですよ。むしろ当たり前のことです。望まない性的な接触やまなざしについて、拒否する権利が誰にでもあります。でもそんなことを説明するのも大変だし、
誰でも上手に自分の気持ちを説明できるわけじゃありません。
だから「何かそれらしい、正当っぽい理由」が必要になると考えるんじゃないか、と。


こういうことだと私は思っています。

だから法的には問題ないとか言ってる人たちはちょっと立ち止まって考えて欲しいと思うんですけど、どうでしょうか。

もしどうしても引用したい、研究したいというならそのコミュニティに対してスジを通す必要があるんじゃないですか?
ハラスメントを嫌がって隠れちゃう人たちを引っ張り出したら、コミュニティが破壊されて今後研究できなくなるだけなんですけど、それでも「引用は正当だ」って主張するんでしょうか。それって研究者の倫理としてはどうなんでしょう?

あと「著作権侵害だ」とか「無断引用だ」とか言って反発している人たちもちょっと落ち着いて欲しい。
そんなこと言わなくても嫌なことは嫌だって言っていいんですよ。ただ「ハラスメントを受けたくない」って言ってもいいし、それが言えるのが健全な社会だと私は思います。




で、この文章書いてるのはどんな人?って思った人向けにちょっと宣伝を。
リイド社さんでBLマンガ連載中。シナリオ担当してる方が私です。
この記事は引用でも何でも好きにしてくれて構わないので、もし役に立ったとか考えさせられたとかそういうので「ちょっと書いたやつに礼でもしてやるか」って思ったら、リンク先の❤を押したりURLをシェアしてくれたりするとものすごく嬉しいです。

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